イカロス対ゴジラ – 柳幸典『ワンダリング・ポジション』
2016/11/21
横浜のBankArt Studio NYKで、柳幸典さんの個展が行われています。
巨大なBankArt Studio全館を使った展示で、
80年代の初期の作品から新作までを一挙に観ることができます。
私が現代アートに興味を持つきっかけの一つだった
「アントファーム」シリーズの国旗たちも一堂に会し壮観な姿を見せてくれています。

そんな中、印象的だったのは最近の作品。
犬島にも展示されている「イカロス・セル」。
上下左右を囲われた迷路、
前方だけ明るい光が見えていて、後ろには真っ赤に燃える太陽の映像。

光のさす方向へ歩いて行くと、迷路は突然直角に折れています。
何度も直角に曲がらされ、どこが出口なのか皆目見当がつきません。
でも前方には光が、振り向くと必ず太陽がいるのです。

立ち止まると太陽に引きずり込まれそう、
やっと出口にたどり着くと、その構造に驚かされます。
この作品は、三島由紀夫の『太陽と鉄』の中の詩「イカロス」から着想を得ていて、
その英訳も展示されています。
蝋で固めた翼で自由自在に飛翔できるようになるも、
太陽に接近し過ぎ墜落してしまうイカロス。

次の部屋には、イカロスを墜落させる存在とも言えるゴジラの頭。
このゴジラ、フレコンバッグ、材木、そしてひっくり返った車など
311の記憶から作られています。
そして、目だけがギラギラ輝いています。

この目をよく観ると、太平洋戦争、高度成長、東大紛争。。。
といった私たちイカロスの飛翔と墜落の様子を映し出しています。

人間というイカロスは、何度墜落しても再び立ち上がり飛翔を始める、
今度こそ太陽に辿り着けると信じて。
だからこそゴジラもまた何度も何度も私たちの前に姿を現すのです。




